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映画の感想と勉強日記

座談会:デモクラシーの変容をポピュリズムから読み解く|特集|三田評論ONLINE


座談会:デモクラシーの変容をポピュリズムから読み解く|特集|三田評論ONLINE

稗田 結局、定義の違いに戻るんですね。例えば橋下徹に率いられた大阪維新の会小池百合子に率いられた都民ファーストの会について、政治戦略的な定義で言うと、明らかにポピュリスト的な動員の仕方です。直接無媒介のつながりを有権者との間でつくって動員するわけですから。

果たしてそういった政治戦略的定義でいうポピュリストたちによって動員される有権者は、ヨーロッパでポピュリストと呼ばれる政党の支持層と同じなのか。政治戦略的アプローチは、カリスマ的なリーダーが現れたら、なぜか無条件に有権者は動員されるという暗黙の前提があるわけです。しかし、なぜ動員されるのかというのは全くのブラックボックスです。

そこで分析してみたのですが、結果としては、政治戦略的な定義ではポピュリストに当たる都民ファーストの会を支持する人たちは、全く平均的な有権者でした。若干、反エリート主義の傾向があるけれども有意ではない。人民主権論的ではないし、「人民の同質性」を信じてなどいない。

むしろカス・ミュデ的な理念的定義で言うと、反エリート主義だったり、人民主権論の傾向を持っている有権者は、この選挙の場合は共産党を支持していました。

つまり、政治戦略的なポピュリズムイデオロギー的アプローチの定義上のポピュリズムはかなり違うものかもしれないという結果が出たのです。では、なぜ政治戦略的な定義上のポピュリストが大衆を動員し、支持を集めることができたのかということについては答えは出ていないという感じです。