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映画の感想と勉強日記

座談会:デモクラシーの変容をポピュリズムから読み解く|特集|三田評論ONLINE


座談会:デモクラシーの変容をポピュリズムから読み解く|特集|三田評論ONLINE

吉田 ヤン・アルガンという厚生経済学者が面白い有権者分析をしています。1つの軸は、他者を信頼しているかどうか。もう1つの軸は、自分の人生に満足しているかどうかを主観的に尋ねたものです。そうすると、「他人を信頼せず、かつ自分の人生に満足もしていない人たち」が右派ポピュリスト政党を支持している。逆に、「自分の人生には満足していないが他人を信頼している」という人たちが左派ポピュリスト政党を支持している。これはイギリス、アメリカ、フランスの有権者市場の特徴になっているとしています。

私が共訳した『新たなマイノリティの誕生』(ジャスティン・ゲスト著)でも強調されていますが、これは絶対的な所得の問題ではなく、「剥奪感」の多寡で説明できます。剥奪感は相対的なもの、つまり他者との比較から感じられるものです。地域や家庭といった社会資本を喪失した勤労者がリベラルエリートに対して敵意を抱いたことがポピュリズム生成につながっています。従って「エリートがどう行動したか」を見ない限り、ポピュリズムは理解できないというのが僕の意見です。