アメリカで自宅待機に反対するデモが起こっている。しかし、それらは2009年の「ティーパーティー運動」のように、保守系・右翼系団体からお金が出ているという話。さらに、トランプが支持するツイートをするもんだから、余計にタチが悪い。
アメリカの拠出金停止に限らず、WHOは世界で評判が悪くなってる。信頼回復のためには、国連事務総長の主導で、WHOの対応について検証しろという提言。独立し、科学的な調査が必要だと。確かに、そうでもしないと、信頼回復には至らないかも。トランプによるレトリックだけじゃなく、世界的に評判を落としてるので。
「大戦略の終わり」という論考。直線的(Linear)な大戦略(Grand strategy)が機能する世界ではなくなったと。国際システム全体に権力が拡散し、無極性の世界(Nonpolar world)になっている。かつてのように軍事力や経済力だけが影響力を及ぼさないので、二極的(Bipolar)でも多極的(Mulitipolar)でもない。民兵からNGO、グローバルな企業、あるいは国際的な犯罪組織に至るまで、さまざまなアクターがいて、国家と競争している。伝統的なパワーは影響力を失い、世界秩序や協力は難しくなっている。国際関係は乱雑な、アドホックな取り決めによって構成される。
アメリカの戦略で言うと、封じ込め政策はトルーマンからレーガンまで引き継がれ、リベラルな国際秩序(Liberal Internationalism)はクリントン、ブッシュ、オバマが(バリエーションはあれど)推進してきた。そのようなコンセンサスはもう存在しない。
多文化主義(Multiculturalism)の影響、「想像の共同体」の崩壊、政治的分極化(Political polarization)・・・。もはや単一のナショナルアイデンティティーは信奉されなくなった。
さらに、専門家やメディアポなどエリートへの懐疑、そしてポピュリズムの横行で国内は分断された。首尾一貫(Coherent and consistent)した大戦略を実行するのはますます難しくなった。
Moving forward without grand strategy requires embracing two principles: decentralization and incrementalism.
「大戦略なしで進んで行くには、2つの原則が必要だ:脱中心化(分権化?)と漸進主義である。」
アメリカの戦略家は次のジョージ・ケナン(対ソ封じ込め戦略の立役者)を目指すべきではない、と締められている。
あと、 浅田彰の論考は相変わらずめちゃくちゃ面白い→
いずれにせよ、「この程度の犠牲ですむなら経済を減速させたくない」というのが政治家たちのホンネで、むろん安倍政権も同じ(緊急事態宣言を出しながら、広範な休業要請をためらい、休業補償にも否定的)、ただ英米ほどはっきり腹をくくる悪賢ささえなく、状況を見て豹変する運動神経もない…。