Hooney Got His Pen

映画の感想と勉強日記

クセノパネスのオリュンピア批判

古代ギリシアの哲学的詩人、クセノパネスのオリンピック批判。現代にも通じる。

ゼウスの神域がピサの泉の畔にあるところ、オリュンピアにて、足の速さで、あるいは五種目競技で、あるいは角力で勝利を獲たなら、あるいはまた、痛い拳闘を したり、パンクラチオンと人の呼ぶ恐ろしい競技をしたりして、勝つなら、都市の人にはいままでより栄誉に満ちたものと見え、競技場では人目につく名誉席を与えられ、国の公費で食事を賄われ、彼にとっては家宝となるべき贈物を授けられるだ ろう。あるいはまた戦車競技で勝利をうるなら、やはりそうだろう。しかし彼は私ほどにはそれらすべてを受けるに値しないだろう。なぜならわわわわの知恵は人 間、あるいは馬の力よりも優れるものだから。むろん、それはまったくいわれのない人間のならわしである。しかし力を善き知恵より優れりとするのは正しいことで はない。なぜならすぐれた拳闘家が国民のあいだにあろうとも、あるいは五種目競技に、あるいは角力に、あるいは足の速さにすぐれた者があろうとも、そのために 国はその秩序が立派なものとはならぬだろう。そして人がピサの泉の畔で競技をして勝利を得ても、そのことで国の受ける恩恵はたいしたことではないだろう。なぜならそれは国の財庫をふとらせはしないから

ギリシア・ローマ哲学者物語 (講談社学術文庫)