ドリス種族によってたてられた都市アクラガスの哲学者、エムペドクレスは、飲み会で野暮なことをする輩にキレる。
彼は多くの人々といっしょにある家の酒宴に招待せられた。食事はだいぶすすんだが、いっこうに酒が出ない。他の客人たちはおとなしく手と口とを動かしていた。 エムペドクレスはあながち酒好きというわけでもなかったろうが、いやな気持ちになって、 無遠慮にも酒を出していただきたいと申し込んだ。すると、「大臣がお見えになるのをお待ちしているのです」という主人の挨拶であった。やがてその大臣がやって来て酒宴の座長となった。そしてそれは主人人の違いによるものであった。座長となった大臣は客人たちに酒を呑むか、さもなければそれを頭から浴びよ、と命じた。 ここにエムペドクレスは大臣の僭主的性向を見てとった。次の日、彼は法廷に酒を強要した大臣と、その大臣をかってに一人で座長にきめた主人とを訴え出た。両人とも死刑を宣告されて、殺された