放送大学の授業はBS放送で無料で見れるので、たまに見てます。面白いし勉強になるので。
高橋和夫「現代の国際政治」は2018年度からの新しい授業なので、話題が新鮮で面白い。シェール革命やドローンの話なんかも出てきます。講義はそろそろ大詰め。
第13回はサイバー戦争について。攻撃主体がはっきりしないことが多いサイバー戦争だけど、いくつかよく知られた事例について。ロシア→エストニア、アメリカ→イラン(未遂含む)など。特に、アメリカからイランに対する大規模なサイバー攻撃が計画されてたことは知らなかった。オバマ政権期にイランとの核合意に関する交渉の最中だったので、当時かなり大きく報道されたみたい。
そしてイスラエル国籍を持つユダヤ系アメリカ人の大富豪シェルドン・アデルソン(ネタニヤフ首相に近い)の紹介も。彼はアメリカでビジネスを成功させた後、マカオやシンガポールに巨大なカジノを経営している。イスラエルには「帰還法」という法律があり、ユダヤ系なら市民権をすぐ獲得できるという。したがって、彼はアメリカとイスラエルにおいて大きな政治的影響力を持っている。ネタニヤフ首相支持で、対イラン強硬派。イスラエルではネタニヤフ支持を強く打ち出した新聞を発行しているが、これがなんとフリーペーパーだという。その意味で「一番読まれている新聞」と言われているらしい。
このように、国家主体だけではなく、個人にスポットが当たっていたので面白かった。この講義では、国家だけではなく、個人の話題が出ることも多い。具体的にどこかの国の首脳の話も多いけど、今回は民間人の話が出てきた。
第14回(全15回)は最新鋭のドローンやロボットが戦争に果たす役割について。技術的な話もありますが、戦争のあり方がここ10年くらいでいかに変わってきたか、という話が中心でした。アメリカのイラク戦争から、ロボットが大きな役割を果たすようになった。
また、特にオバマ政権はドローン攻撃を多用した。アメリカがドローン攻撃に頼る傾向はトランプ政権になってからむしろ強まっており、その点で両者には共通点が見られる。
ドローン攻撃には誤爆の問題が大きくあり、アメリカ国内でも問題となっている。それに加えて、ドローンを操作する軍人の離職率が高いという。ドローンの開発によって、アメリカ国内にいながら、同時に、戦場で敵を攻撃することが可能になった。勤務時間は戦場にいて、勤務が終われば日常に戻っていく、というような生活が可能になったと言える。しかし、19歳から20代半ばくらいの兵士の心理的負担は大きいらしく、リクルートの問題もあるらしい。
また、ロボットが反乱を起こしたらどうなるか、という話題で『2001年宇宙の旅』が取り上げられていた。
あと、本の紹介もされていて読みたくなった。
マンガ入門 殺人ロボットが やってくる!?: 軍事ドローンからロボット兵器まで
- 作者: 新名昭彦,川崎哲,畠山澄子
- 出版社/メーカー: 合同出版
- 発売日: 2018/02/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この授業を見ていると、普段の国際ニュースが分かりやすくなるので便利です。あと、講義をしている高橋和夫氏がユーモラスなので、退屈せずに見れる。10分毎に1つギャグというか、ジョークを言っていて、しかも質が高い。けっこう考えられていると毎回思う。
牧原・御厨コンビの「日本政治外交史」第14回は、村山富市に始まって、小泉政権が主に扱われていた。橋本龍太郎の頃までは自民党の派閥政治は生き残っていて、竹下登は大きな存在感を示していた。その意味で、橋龍は旧来の自民党的なリーダーシップを発揮した最後の首相である。
「自民党をぶっ壊す」と叫んで登場した小泉純一郎は、それまでの自民党のあり方を根本から変えてしまった。御厨貴は、細川護熙が「静」のイメージをテレビで表現したのに対し、小泉は「動」のイメージを表現したと指摘していた。その意味で対照的であるが、2人の首相はテレポリティクスを強く意識していたと。
牧原・御厨は小泉純一郎に対して、それなりに好意的な評価だった。ただ、彼のようなスタイルは他が真似できるものではなく、小泉に続く3人の自民党の首相は短命に終わった。次回は、「政権交代の後」と題して、民主党政権についての評価が聞けるので楽しみ。2013年からの講義なので見たことある気がするけど、放送されてたら毎回録画してつい見てしまう。