ネットワーク理論
友達との読書会で扱った本。
私たちはどうつながっているのか―ネットワークの科学を応用する (中公新書)
- 作者: 増田直紀
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2007/04/01
- メディア: 新書
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タイトルにある通り、つながり=ネットワークについて研究する分野であるネットワーク理論についての入門書。
ネットワーク理論における中心概念である「スモールワールド」「スケールフリー」について主に解説されている。説明は平易でとても分かりやすい。
「スモールワールド」の説明で、「6次の隔たり」という話はとても興味深かった。つまり、せいぜい6次の隔たりだけで、世界中どんな人でも繋がってるのである。これはたしかに実証されていて、その辺りの記述は本書の中で特に面白い部分。
「スケールフリー」についての説明も興味深いが、読んでいてやや理解が及ばない面があった。本書の中にも、「スケールフリー」の研究はまだ発展途上であることから、応用はまだあまりされてないという話だった。
本書は2007年刊行ということから、やや記述が古く感じられる場面もある。というのも、インターネットで広がるネットワークというような話題で出てくるのがミクシィ(mixi)なのだ。一応、僕も高校生の時にやっていたことはあるので話は分かるものの、やっぱりピンとこない。
今なら、GAFAとかを話題に入れざるを得ないと思う。まあ、それは本書を読んでから自分で考えてもいい部分かなと思った。SNSって、そのまんまそういうことだし。
読書会でも、「ネットワーク理論から見て、Twitterはどう捉えられるか」という話題になった。あと、「スケールフリーの考え方からみると、水道橋博士はすごい」とかいう話にもなった。「ハブ」としての凄さというか。まあ、こんな感じでだべりながら読書会は進みました。
『弱いつながり』
そういえば、東浩紀『弱いつながり』というのは、まさにネットワーク理論の用語なのだということに読んでいて気づいた。具体的には、弱い絆(ウィークタイ)がキーワード。アメリカの社会学者が1970年代に提唱した有名な概念だという。
東浩紀の本では、気軽に旅行や観光をする中で「検索ワード」を獲得していくというアイデアが提案されている。
Googleはカスタマイズ検索の機能を相当高度に発達させている。その統制から逃れるためにはどうすればよいか、東浩紀の答えはシンプルで「旅に出ろ」ということでした。環境を意図的に変える。Googleが予測できない検索ワードを新たに獲得するために。
ちなみに、僕はこの『弱いつながり』に出てくる「ダークツーリズム」の考え方にけっこう影響を受けました。
要は、「人類の悲しみの歴史」に関する遺構とかを訪ねていくという観光学の考え方。日本では、広島の原爆ドームへの修学旅行などが典型例として挙げられる。
『弱いつながり』は2015-16年のオランダ留学中にkindleで読んだ。懐かしい。この本を読んだのがきっかけで旅行へのモチベーションが高まった。ドイツの戦争博物館やホロコースト記念館にも行ったなあ。
ベルリン、オランダのシナゴーグ、『ブラック・ブック』 - オランダ留学記とその後
ただ、「ダークツーリズム」という言葉自体を初めて知ったのは、「チェルノブイリ」本でした。この本もけっこう前です。
それと、試しに英語で network theory とかで調べてみると、分かりやすい動画がいくつも見つかった。
Network theory - Marc Samet - YouTube
というか、英語で調べるとものすごい量の動画とか記事が出てくる。論文も無料でダウンロードできる。大学の講義のスライドがPDFでダウンロードできたりもする。本当に便利だよな。これから少しずつ調べていこう。
もちろん、英語の記事とかをざっくり流し読みできるようになったのも、本書が易しくかつ詳しく、基本的な考え方を説明してくれてるのが大きい。本当に丁寧な説明だったので、今回の本は読んで良かったですね。