Hooney Got His Pen

映画の感想と勉強日記

【メモ】大塚英志の「新しい生活様式」批判


感染拡大せず「日本スゴイ」…80年前と重なる嫌な流れ:朝日新聞デジタル

 「戦時の『新生活』も、実践の担い手の中心は女性でした。当時の女性たちにとっては、『正しい社会の参加の方法』が示されたという充足感もあったのかもしれません。少なくともそう演出されました」

 「そもそも『新生活体制』が説かれるのは1940年の翼賛会発足に合わせてです。翌年が日米開戦です。しかし、それより前、1937年の日中戦争をきっかけに行われたのが『自粛』です。対象になったのは、まずは『パーマネント』、それから女性が接客する『カフェ』でした。なんとなく女性の琴線に触れるものを、非常に巧みに自粛の対象に紛れ込ませた印象です。今回も、理美容院を休業要請の対象にすべきかという議論がありましたし、今は『夜の街』対策に熱心です。婦人会などによる自粛警察のような動きもありました。そうやって『自粛』は生活の自発的なつくり替えに向かい、そして『規制』は本格化します。今も、自粛に罰則を付す、つまり『規制』にする議論が始まっていますよね」

 

――「新しい生活様式」の「新しい」という言葉には、ポジティブな響きがあります。

 「『新しい』という言葉によって、批判の対象を『旧』におとしめるというマウンティングの歴史の一つですよ。社会に停滞感がある時、人は『新』に飛びつくものです。近衛文麿の新体制が成功したのは革新運動だったからだし、戦後の「革新」も、『古い自民党』を批判して生まれた小泉政権も、戦後を『古いもの』と見なして否定する安倍政権も同じです。維新の会も同じです。『新しさ』に内実は問われない。問わない側が間違っている」

大塚英志は、「新しい生活様式」や「自粛」のあり方を近衛文麿の新体制運動にまで遡って批判している。