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映画の感想と勉強日記

【メモ】「安倍政権のレガシー」御厨貴の洞察


「安倍政権のレガシーは政策よりも…」御厨貴さんの洞察:朝日新聞デジタル

柔らかい語り口だけど、さすがの御厨節。政治学の知見を背景にしつつも、腑に落ちる分かりやすい解説だと思う。

続いたこと自体がレガシーだと。これは確かに。小選挙区制と行政改革、内閣機能の強化、党のトップの権限の制度的な強化、人事の掌握…など、これらの制度的な利点をフルに活用して、とにかく内閣を長く続かせたこと。制度への理解の仕方と制度の活用というのか。それはレガシーだと思う。一年ごとに変わってた政権を、こうやれば長く続けられますよと実際にやってみせたわけだから。

――安倍政権の「レガシー」と呼べる功績は

 安倍さんは次から次へと政策に手をつけて「やってる感」を演出するのが内政上の技ですから。それなりの成果が無かったわけではない。でもね、長きが故に尊(たっと)からずとは言いますが、個々の中身よりは、続いたってこと、そこにレガシーがあると思います。5年半の小泉政権の後、平均すれば1年で1人ずつ首相が代わった。あの間の政治の不安定さは特に外交にとってはマイナスなんですよ。毎年首相が代わっていたら国際舞台で信用してもらえませんから。ただ、安倍さんが力を入れていた北方領土や拉致の問題は、悪化させたとは言わないけれど、現状維持。あまり高い点数は与えられませんね。

 

――長期政権ならではの弊害はどんなところに

 この政権は森友・加計問題とか、けっこうスキャンダルがあったでしょう。政権が長くなると、スキャンダルに対する感覚が鈍くなって、一つや二つどうでもよくなってくる。安倍内閣のすごいところはそこで黙らず、一応「説明」はする。でも、この説明がわかんないわけ。さらに説明を求めても、「説明は終わった」と。昔なら党内から声が出たはずだけど、全然ない。安倍さんが政権を奪還してくれた重みは大きくて、なかなか彼を引きずり下ろせなかったんだね。

このスキャンダルへの対応の仕方を解説した部分も秀逸。確かに一応説明はするし、佐川理財局長も国会出てきて話はするんだよな。でも、全くわけが分からない説明をするだけ。でも、野党弱い中でなんとなく押し切られてしまうし、みんな飽きるし忘れていって、それで野党の体制整わないうちに選挙を打って大勝すると。