「記録は、一時の出来事を永遠なものにすることができる。記録は、世の片隅の出来事を、全体のものにすることができる。記録は、名もなき人の行為を、人類に結びつけることもできる。記録のみが、消えゆくものを不死なものにする。記録すれば沈黙しない。だから怒りをつづける必要がない。・・・・・・しかも、記録でもっとも値打がある時は、激しい変化の時である。今は変化の激しい時である。この時こそ事実を、正直に、『ふだん記』で書くべき絶好の時である。」と。(橋本「だれもが書ける文章』一六三ページ)
記録のみが消えてゆくものを不死なものにできる、とは私は思わないが、文章や表現を庶民のものにしようとねがう橋本義夫の気持は痛いほど私にもわかる。