Hooney Got His Pen

映画の感想と勉強日記

立花隆の自伝と読書術

 

立花隆の自伝的な本。これまでの歩みを振り返ってるが、なかなか圧倒される。田中角栄研究に始まり、共産党研究、ロッキード裁判…その合間、と言っても、合間の仕事ではない充実度でサイエンスの本を次々に書いていく。半端ない仕事量。

取材前には資料や著書をありったけ読み込んで行くとか、普通はなかなかできないこと。

角栄再評価の流れは冗談じゃない、という。論駁され尽くした議論が、ゾンビのように復活してくるのに呆れると。昔は渡部昇一で、近年だと石原慎太郎田原総一朗も最近似たような本出してたな。この本にも簡単にではあるが、再反論が載せられていて、どう考えても立花隆の批判が正しいと思う。

立花隆の凄まじさに触れる本。あと、これまでの膨大な著作集からオススメや読み方も教えてくれるのでお得。角栄研究とかはあんまり読む気が起こらないが…『アメリカジャーナリズム報告』をちょっと読み直そうと思った。

 

けっこう上の本にかぶる部分は多い。文藝春秋を退職する際に書いた文章がめっぽう面白い。社報に載ったというから驚き。その後も関係を継続するのだから、文藝春秋社はなかなかおおらかな社風だな。

大学までは文学青年だったが、就職してからノンフィクションの面白さに気づいたという。その後はほとんど文学を読まなくなったが、大江健三郎だけは読んでいる様子が伺える。ネコビルの3階に棚があるらしい。

すべて読んでから書くかという問いに、書きながら資料を読んでいく、同時並行だと答えている。また、キーフレーズや印象的な文章なども、書きながら思いつくと。ひたすら調べて読んで、それを研究者とかにぶつけて、さらにそれをまとめて…と、とにかく真面目な方法が紹介されている。なかなか真似できるものではないが。プロの書き手ってこうなのかと思い知らされる。真面目にやるしかないのだなと。

影響を受けたノンフィクションの名前がちらほらある。「ブックガイド」の類は一切信用しないというが、「おすすめノンフィクション」などでググっても本当にロクなものが出てこないから、立花隆が10冊でも100冊でもいいからまとめてほしい。国内外のノンフィクションをバランス良く読んでいきたいので。たまに、ノンフィクション本の帯などでも見るし、これまでに膨大な数の書評も書いてきてるだろうし。誰かまとめてほしい。

立花隆は、本当に博覧強記という言葉がピッタリだと思う。本を読んでいるとめちゃくちゃ勉強になるし、何より知的好奇心がくすぐられる。大学を卒業すると、そういう機会もあまりなくて。久しぶりに、あれも読みたい、勉強したいという意欲が出てきた。やる気スイッチ押された。

あと、Kindleよりも紙のほうがやはりパラパラ読めるな。電子書籍は内容が頭に入ってこないのではないか、と敬遠する人いるけど、逆だと思う。頭に入ってきすぎるのだ。電子書籍では、適度に流し読みというのが難しい。ザーッと、ページをめくるというのができない。意外にもしっかり読み込めてしまう、というのが電子書籍の難点だと思う。キーワード検索やハイライト機能などを活用すればいいのだとは思うけど。それだとあんまり味気ないし。やっぱり本って、圧倒的に読みやすい。

 

 

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