Hooney Got His Pen

映画の感想と勉強日記

ブリッジ・オブ・スパイ 感想


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あらすじ

冷戦時代。アメリカ、ソ連でそれぞれ逮捕されたスパイを交換しあうということがあった。歴史的には、「スパイ交換をきっかけに、冷戦はデタント(雪解け)の時代に入る」というような解説がなされる。しかし、その裏にはアメリカ人弁護士ドノヴァンの知られざる奮闘があった。コーエン兄弟脚本、スピルバーグ監督。


感想
ソ連のスパイであるアベル(マーク・ライランス)は文字通り「インテリジェンス」に溢れていて、魅力的なキャラクターだった。

車窓から眺める東ドイツ、アメリカ。あれは本当に映画的なシーンだった。さすがスピルバーグだ。コーエン兄弟の脚本もグッド。

「アメリカ人である」とは何か
理念=憲法を尊重するという、アメリカの良い部分が存分に描かれていた。最近のオバマ演説と重なり、胸が熱くなる。

「理念とか正義なんてどうでもいいだろ?」と言われたドノヴァンが、ブチ切れるシーンは見もの。「我々、移民出身者がアメリカ人である」というのは憲法に忠誠を誓う、ということでしか担保されないのだ。「だから、てめぇ正義とか理念がどうでもいいとか絶対言うなよ」と迫力満点に怒る。「アメリカ人である」とは、憲法の体現する理念にしか担保されていない。血縁などではない(それは何もアメリカ人に限らないが)。理念、あるいは正義は一人一人の「不断の努力」によってしか実現されないのだ。

あまりヒットしていないように思いますが、どうだろう。作品の完成度に比べて話題になっているとは思わない。でも、これは観たほうがいいよ。折り目の正しい映画で、午前十時の映画祭とかでかかっていそうな感じなのだ。リアルタイムではあまり観れないタイプの映画かと。