Hooney Got His Pen

映画の感想と勉強日記

フルメタル・ジャケット(1987)

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二部構成の映画
 
前半は新兵たちの訓練が描かれる。この訓練シーンが特に有名である。
 
訓練のプロセスは…
①人間性を完全に否定
②兵士に"なる"訓練を徹底的に行う
③兵士として生まれ変わる
このように、兵士になるまえにフラットにしておいて、その上で徹底的に叩き込むのである。兵士になるための"通過儀礼"だとも言える。
 
他の新兵たちの足をことごとく引っ張る「愚鈍デブの新兵」を軸に、前半はずっと訓練シーンが続く。実際の軍曹をキャストしているだけあって、本当にリアルだ。
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軍曹に怒られる"微笑みデブ"
 
デブは模範的な兵士として成長するが、心が壊れてしまう。優しいやつには耐えられなかったのだ。衝撃的なシーンで、前半が終わりどんよりした雰囲気になる。
 
 
ベトナム戦争
後半は、実際にベトナム戦争に赴く兵士たちを描く。前半から実は主人公がいて、メガネ君の兵役体験といってよい。
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カメラワーク、ドキュメンタリーの手法

後半のカメラワークがすごい。戦闘シーンではずっと低い目線で撮られていて、俯瞰したショットがない。つまり、観客も戦争に巻き込まれる。自分も戦場にいる気分になってくるのだ。
 
建物の向こうからショットガンで仲間が撃たれていく。誰が撃っているのか、どこから撃っているのか…何も分からない。この恐怖が、独特のカメラワークによってとても鮮明に、リアルに描かれる。
 
メガネ君はどうなる?
そして、後半も実は、「1人の男が兵士になっていくプロセス」を描くのだ。
主人公のメガネ君はインテリで、心優しいやつだ。戦場に赴いても、残酷なことには手を出していない。良心はまだ無事である。しかし、そんな彼が究極の状況に追い込まれるさまはとても怖い。
 
究極の選択、つまり「殺すか殺さないか」に追い込まれるが、その選択は決して勇敢なものではない。何と戦っているのかさえ明確ではなかったのだ。殺しても、何にもならない。
「僕たちは何と戦っていたんだ?」
そして彼は、顔のない「兵士」となる。ミッキーマウス・マーチと共に、やりきれない気持ちになって映画は終わる。
 
この映画は3.4回は観ていて、観るたびに新たな発見がある。気分は沈むが、必見です。