Hooney Got His Pen

映画の感想と勉強日記

僕だけの先生

ピンク映画の巨匠・城定秀夫監督のサイコサスペンス。

家庭教師役の湊莉久が、家庭教師先の姉弟に監禁されてからは舞台がほとんど動かない。それでも、一軒の家の中で複雑に蠢く情愛と歪みをこれだけ描き切るのだから、やはりこの監督の力量は普通じゃない。並外れたものがある。

音楽も抑えめで、演出自体も全体的に抑制的。だからこそリアルな怖さがあるし、手持ちカメラもリアルな描写に一役買っている。

湊莉久の演技がいい。「気持ち悪い…」と言って立ち去る姿には息をのんだ。

それに輪をかけて、姉弟2人ともの演技が素晴らしい。こんな俳優、どこで見つけてきたのだろう。と思って検索してみると、やはり数々の作品に出演されている女優さんだった、和田みさ。覚えておこう。本当に尋常じゃなくうまい。本物にしか見えない。

こんなに面白いサイコサスペンス映画って、なかなか見れたものではない。城定秀夫はこういう映画も撮れるのだ。

ひとつ付け足すと、あの状況は意外と逃げれないと思うよ。精神的にもかなりやられてるし、ろくなもの食べさせてもらえなくてかなり疲弊してるし。かなり酷い監禁の仕方だと思う。