欧州すくむ民主主義、大衆迎合が台頭 ドイツ統一30年 (写真=AP) :日本経済新聞
ばかげた自由主義の教義への反乱――。9月21日、ハンガリーの保守系日刊紙に挑発的な言葉が並んだ。論文を寄稿したのは、法の支配や民主主義などの理念を掲げる欧州連合(EU)と対立し、強権政治を敷くビクトル・オルバン首相だ。
オルバン氏は東欧が民主化に向かった1989年に「自分たちの力を信じれば、共産主義者による独裁を終わらせることができる」と演説して喝采を浴びた民主化の元闘士だ。それが司法やメディアを締め付ける「独裁者」(ユンケル元欧州委員長)に転じた。
30年前の東欧では民主化さえ実現すれば、すべての問題が解決するという「過信」(ポーランドのワレサ元大統領)があった。だが、性急な改革は格差を広げ、恩恵にあずかれなかった農村部にポピュリズムの種をまいた。EUには加盟したが労働力を吸い上げられるばかりで、いつまでも2級市民扱いされているとの不満もくすぶる。
オルバンって民主化の闘士だったのだと初めて知った。