Hooney Got His Pen

映画の感想と勉強日記

オランダのスラングと大阪弁

オランダからの留学生

今学期から、留学生のチューターをしている。オランダから来た彼はとてもナイスガイで、話がおもしろい。ユーモアセンスも高いし、話している内容はかなりインテリだったりする。
映画も詳しくて、趣味もけっこう合うので、彼とは映画の話をよくする。デイヴィッド・リンチから、タランティーノまで趣味が広い(と書いていて、広いのかよく分からないけど)。「近年の映画で何がよかったか」という話で真っ先に『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』の話になったので、とても信頼のおける人物である。昔の『マッド・マックス』も最高だよねって話をしているときは思わず興奮してしまった。「ジョージ・ミラーの思想は素晴らしい、『ベイブ』も見かけは子供っぽいけど、あれは実は階級を描いていて…」みたいな話を僕がしたら、「『ベイブ』知らない」と言われたので今度一緒に見ることになった。日本では金曜ロードショーでお馴染みの『ベイブ』だけど、海外では、ジョージ・ミラーフィルモグラフィーにおいてあまり重視されていないのかも。
文学にも詳しくて、「ハルキ・ムラカミ」が好きなそう。専門は政治哲学で、ジジェクがお気に入り。

こんな感じでとても優秀な人なので、僕がチューターなのに、彼から教えてもらうことが多い。
例えば、英語で研究計画書を提出するとき、ドラフト(草稿)の時点で彼に見てもらいいろいろアドバイスをしてもらった。「リサーチクエスチョンをこうしたら?」とか、いちいち的確で、とても勉強になった。

餃子の王将

そんな彼ともう一人のオランダ人(NBA好き)と、夕食にでかけた。「どこかオススメある?」と聞かれたので、駅前の「餃子の王将」へ。
大学の食堂に「大阪王将」があるのだが、「あの王将とは違う。日本のチャイニーズレストランには2つの大きな派閥があって、今から行くところは京都派、大学にあるのは大阪派だ」とかそれっぽく説明したけど、外れてはないと思う。「結局どう違うの?」と聞かれて答えに困ったので、「京都派の方が安いし、人気がある」と答えたら、「そっちのほうが絶対いいじゃん」ということで、餃子の王将に行くことになった。

餃子の王将に行って気づいたのだが、メニューはすべて日本語で書かれている。かろうじて読めるサイズの英語が添えられているが、説明もないしさっぱり分からない。メインのメニューだけでも英語にして、説明をつけたらいいのにとおもった。
ということで、僕が2人にいろいろ説明しながら食べるものを決めたのですが、質問されてもほとんど答えられなくて困った。「天津飯てなに?」と聞かれても、「うーん、天津飯天津飯です」としか。僕が天津飯皿うどんセットにすると、「良さそうだね」ということで、一人は同じものを頼むことに。
もう一人は、ラーメン・チャーハンセットに。「ここのラーメンはおいしい?」と聞かれたので、「(王将のラーメンはそこそこ美味しいし最低ラインは必ず超えてくるけど、おいしいラーメン屋のレベルかといえばそうでもないけど、普通に)おいしい」と答えた。つまり、"Nice."としか答えなかったんですが。ややこしい説明しても仕方ないかなーと。
あとは、餃子2人前と、キムチを注文した。

料理が到着すると、2人はボリュームに驚いていた。「安いのに多いね!」と。天津飯皿うどんを注文した彼は、「うまいうまい」と言いながらガツガツ食べていた。「天津飯のこのソースはなに?」と聞かれたけど、「日本の中華料理ではよくある味付けで、何かはよく知らないけどとにかくうまいソース」と答えておいた。全く答えになっていない。
ラーメン・チャーハンを頼んだ彼も気に入ったようで、すぐに平らげていた。あと、餃子を食べた2人の反応は、「大阪王将よりうまい」だった。こちらの方が口に合うのね。まあ、餃子の王将の方がデカいしボリュームはある。味は同じくらいおいしいと僕は思うけど。

3人ともよほどお腹空いていたようで、食べている間はほとんど無言だった。一気に15分位で食べ終えてしまったところ、3人ともぼんやりしてしまった。お腹いっぱいになったし、時間も少し遅くて疲れていたからだ。そうすると、隣に座っていたオランダ人の彼が一言。

"After dinner dip"

彼によると、これはオランダ特有のスラングで、英語っぽいけど英語にはない表現らしい。意味は、「ご飯を食べ終わったあとのだらーんとした状態」という感じらしい。
そのとき、「日本語にはある?」と聞かれた。うーんと少し考えて思いつかなかったので、「ないかなあ」と答えたその時…ひらめいた。
大阪の観光用語(?)ではよく使われる、あの言葉。普段使ったこともない、あれ。


この言葉に、初めてピンときた。まさに「くいだおれ」やん。
「これは大阪特有のスラングで、普段はほとんど使わない。でも、まさにそういう言葉ですわ」と言ったら、2人はふんふん聞いていた。

偶然の一致だろうけど、不思議なこともあるのだなぁと思いました。今後、"after dinner dip"使っていこう。