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映画の感想と勉強日記

猪谷千香『その情報はどこから? ネット時代の情報選別力』

 

その情報はどこから? (ちくまプリマー新書)

その情報はどこから? (ちくまプリマー新書)

 

 

発売されたばかりのちくまプリマー新書『その情報はどこから?』を読んだ。

ちくまプリマー新書らしく読みやすい本だったけど、後半は特に参考になる点が多く読み終わるまで大体2時間くらいかかった。

この本を見つけたのはTwitterで、情報収集術的な本かと思いきや、最後は図書館の使い方を指南している本だった、という趣旨のツイートだったと思う。面白そうだったので、すぐにAmazonで購入。

今見つけたけど、webちくまの連載が元になったようだ。その情報はどこから?|webちくま

目次は以下の通り。

第1章 ニュースの源流をたどって(私たちは知らないうちに溺れている 「複雑化」を超え、「液状化」する情報とメディア)

第2章 フェイクニュースが私たちの未来を歪め、蝕む(日本で始まったファクトチェック Facebook、Google、Twitterを舞台にサイバー戦争)

第3章 知りたい情報を求めて(気づかないうちに、インターネットが私たちに隠していること 人々を悩ます「デマ」をどう見分ける? 検索で並ぶ情報は、本当にほしい情報ではないかもしれない ほか)

おわりに 茫漠とした情報の海に溺れないために

第1章はおなじみの話ではあったけど、改めて読むと頭の整理になった。

第2章で紹介されているいくつかの研究や調査は興味深かった。大体の内容はこちらでも読める(第2回 フェイクニュースを流した人物の死はフェイクニュース?|その情報はどこから?|猪谷 千香|webちくま 、 第3回 Facebook、google、Twitterを舞台にサイバー戦争?|その情報はどこから?|猪谷 千香|webちくま)。

具体的には以下に詳しい。上の記事からのリンクにあった。

明らかになった「米大統領選へのロシアの介入」の実態:「ロシア疑惑」公聴会レポート(3)|WIRED.jp

Study: Breitbart-led right-wing media ecosystem altered broader media agenda - Columbia Journalism Review

ところで、ひとつだけ思ったのは、本自体にはリンク先のURLが書かれていなかったこと。注とか参考文献に書いてあった方が読者は自分で辿れるし、本の趣旨にも合っているのではないかな。まあ、本に書いてる情報を元にググればすぐに出てくるだろうけど。

本書の白眉はやはり第3章か。信頼性のある情報を手に入れようとしたとき、やはり図書館は役に立つという内容。とても真っ当だし、下手すれば当たり前としか言えない主張だけど、改めて言われると説得的。まさに温故知新という感じ。しかも、図書館の使い方、活用の仕方を具体的にレクチャーしてくれていて、とても勉強になる。

僕はこの1年間大学図書館でアルバイトをしていたこともあり、いろいろ図書館の仕組みとかレファレンスサービスの使い方とかも詳しくはなったけど、本書にあった公共図書館の特色とか使い方は知らないことが多かった。

特に、「レファレンス協同データベース」と「国立国会図書館デジタルコレクション」について改めて知れたのが大きい。両方とも個別に見たことはあったけど、全体として眺めてみると色々面白そうだなと思った。

レファレンス協同データベース

国立国会図書館デジタルコレクション

来年からはこれまでのように大学図書館を気軽に使えるわけではないので、色々どうしようかなと考えていたけど、本書で紹介されていた方法は1つの指針になるものでした。もちろん、自分の通っていた大学以外の大学図書館も使えるようだけど、公共図書館を活用する機会はこれから増えると思うので。