Hooney Got His Pen

映画の感想と勉強日記

マミー Mammy

2014年、カナダ。グサヴィエ・ドラン監督。

 

『大人はわかってくれない』と、『カッコーの巣の上で』、『時計じかけのオレンジ』をかじりながら、『ライ麦畑でつかまえて』って感じの映画でした。
↑上の作品群が好きな方には引っかかると思います。

架空のカナダという設定。ある法案が通り、精神的に問題のある子供を持つ親は一方的に親権を放棄できる。だけど、これは果たしてそんなにSF設定なのだろうか?

母親であることは難しいし、何より家族であり続けることはそもそも困難すぎる。手に負えない子供を持ってしまったら?親が痴呆症になったら?兄弟の世話を焼かないといけない状況になったら?そんな状況に置かれた人は、果たして自分の人生を生きることができるのだろうか。

もしこれらの問題を解決しようとすれば答えは単純。ケアを社会化するしかないだろう。つまり行政が責任を持って対象する。個人には責任を負わせないということだ。具体的には老人ホームを運営するとかでもいいし、そのような施設を充実させることだろう。

その視点でこの映画を見直すと、果たしてあの施設・法案はそんなに非人間的なものだろうか?個人に責任を負わせ、その人の人生を台無しにしてしまう方がひどいのではないか。

ただ、この映画の秀逸なのは、やはりそのような世界はどうしようもなく窮屈で気持ち悪いように感じる。スティーブの発言はどうしようもなく切なくて心を撃つ。