Hooney Got His Pen

映画の感想と勉強日記

アカデミー作品賞『バードマン』を観てきた。

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日本版のポスターはダサいので、アメリカ版を。シンプルでいいポスターですね。

アカデミー作品賞を受賞した本作。人によっては難解と思うかもしれないけど、ストーリー自体はいたってシンプル。

シンプルな筋立て
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マイケル・キートン演じるかつてのスター俳優がすっかり落ちこぼれてしまっていて、復活をかけて舞台に初挑戦するという話。そこに父と娘エマ・ストーンの話、無茶苦茶な俳優エドワード・ノートン、売れない女優ナオミ・ワッツらが絡んでくる。基本的にコメディなので笑えるし、特にエドワード・ノートンには爆笑。

なぜ人によっては「難解だ」とか「分かりにくい」と思うかもしれないのか。

僕が考えるに、ドキュメンタリーのような演出から、幻覚あるいは幻想へとジャンプすることが原因だと思います。
カメラは舞台裏を密着するが、カットは切れることなくワンカットである。そう編集されている。だから全体的にドキュメンタリーのように感じてしまうのだが、主人公には幻聴が聞こえたり果てには幻覚が見えたりする。それらが前触れもなく現れるから、驚いてしまうのだ。「あれ、これは映画内では現実なのか?」とどちらか分からなくなってしまう。
でも、これこそが、クライマックスで最も大きな感動に繋がります。
分かりにくい原因だと言いましたが、これは重要な設定で、かつ見事な演出でした。
この、現実と幻想の境目って微妙なところなので、あまり考え過ぎないで観ればいいと思います。確かにけっこう混乱してしまうのですが。

音楽の使い方
重要な場面ではドラムの音が鳴り響いているのですが、映画のBGMではなくて、実際にその場面でドラムが鳴っているんです。なぜかドラマーがいてドラムを叩いているというギャグのような演出ですが、ニヤリとさせられました。
そして、映画内の音ではなく純粋なBGMとしてかかるのは、やたらと壮大なクラシック音楽です。マーラーとかチャイコフスキーのBGMがかかって大げさな感じになるのですが、場面とものすごく合っていてこれもよかった。

エマ・ストーンの顔

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見所ですが、なんと言ってもエマ・ストーンの「顔」です。彼女の顔を見るための映画ですよ、これは。
マイケル・キートンエドワード・ノートンナオミ・ワッツら錚々たる顔ぶれとの演技合戦です。その中でも、我らがエマ・ストーンは物怖じせずに、堂々といつもの小悪魔顔でしゃがれた声を響かせる。
そして、あの「クライマックスでの顔」。あれが全てです。あれを見るための映画です。全てはあの瞬間の顔に繋がっています。

映画館で観たい。

この映画はとにかく、映画館に足を運んで観るべきものです。観た後は本当に勇気付けられましたよ。小難しい文芸作品のようなものではなくて、軽いコメディとして観に行ってもいいのかもしれません。気軽にどうぞ。