原題は『Loser』
監督:エイミー・ヘッカリング
主演:ジェイソン・ビッグス、ミーナ・スバーリ
絶妙にダサい主人公
中西部のド田舎出身の主人公・ポール。『ファーゴ』かよ!って思うような帽子を常にかぶっていて、絶妙にださい…けど、"いいひと"。
そんな彼がニューヨークの大学に進学する所から物語は始まる。そんな田舎出身の彼だからニューヨークでうまくやっていけるはずもなく、ルームメイトの遊び人たちに振り回されっぱなしだ。
おまけに奨学金を借りているから、しっかり勉強して高得点をキープしないといけない。ルームメイトに遊びに誘われても「勉強だから」と断っているうちに、どんどん相手にされなくなっていく。相手にされないだけならまだいいが、「負け犬」扱いされてしまってとことんバカにされる。この辺の描写がけっこうきつくて、正直、割と嫌な気持ちになる。
大学に通うためにひたむきな女の子
そんな彼が同級生のドラ(ミーナ・スバーリ)に恋をするところで物語は展開していく。ドラは奨学金を借りれなかったため、自分で稼ぐしかない。キャバクラのようなところで働いていて、そこも辞めさせられる。一生懸命電話をかけまくってアルバイトを探すシーンはいたいけで、かわいそうになってくる。
でも彼女には秘密があって、文学部教授と付き合っているのだ。この教授がめちゃくちゃ嫌な奴。なんでそんな男と!と思うのだけど、口がうまくてインテリだから、こいつがモテるんですよね。
モデルは・・・
どうやらお話のプロットは、ビリー・ワイルダーの『アパートの鍵貸します』をベースにしているのだそう。こういう古典映画も要チェックやな・・・。
嫌な奴が多い!
この映画、嫌な奴がけっこう多い。そんな奴らを見てるとほんとにイライラするけど、ちゃんとスッキリさせるところも用意されていた。「やっちまえ!」って気持ちを収めてくれる映画は良い映画。主人公をいじめてくる奴らが、とにかくむかつく。実際に見てくれたら、そごく分かると思います。
でも、嫌な奴の嫌なところをしっかり見せる代わりに、主人公2人の純粋さが際立ってくる。この2人を見ていると安心できて、心がほんわかしてきます。
デートシーンが素晴らしい
分かってくれたと思いますが、2人ともとにかくお金がないので遊びにいけないんです。遊びに行けないといっても、お金をつかって遊びにいけない。映画も観に行けないし、豪華なディナーなんて・・・。じゃあ、お金を使わなければいい。
ということで、”マンハッタン無銭デート”の始まりです。パン屋さんの外に置いてあるフランスパンを少し頂戴して、公園に行って無料のコーヒーと一緒に軽くランチ。一緒に食べるからおいしい、全く気にならない。
お腹がいっぱいになったら、芸術鑑賞ということで、ブロードウェイを見に行こう!でも、お金は大丈夫なの?心配ご無用。一時退場していたように見せかけて堂々と入れるんです。ミュージカルを見て大満足のふたり。
本当に素晴らしいシーンでした。金なんか要らんのや!
全体の感想
ただのお気楽な ラブコメ映画じゃなくて(もちろんそれでも全然いいが)、アメリカで大学に通うことの厳しさ(とにかくお金が必要)を描いていたり、厳しいところも結構みせてくれるきちんとした映画でした。それだけに、2人に救われるんです。