Hooney Got His Pen

映画の感想と勉強日記

大沼保昭・徐英達編『新版 在日韓国・朝鮮人と人権』

・日本へ来るまでの過程。経済的要因の分析。あと、出身地は韓国の南部に多い。 姜(在彦) だから強制連行の始まる一九三八年までは、二つの要因があるわけです。ひとつは、朝鮮人が日本だけではなくて中国東北部とシベリアに流れていく、海外流民を排出し…

徐英龍『定住外国人問題と地方参政権』

大阪で大空襲に遭う (不幸のみ平等) ただいまご紹介にあずかりましたソ・ヨンダル、徐龍達と書きましてソ・ヨンダルと読むのです。 大阪弁でソーヨンダルというふうに覚えてもらったらいいかと思います。 覚えやすい名前ですのでよろしくお願いします。 浪速…

黒田龍之助『ロシア語だけの青春』

そもそもミールでは、週二回の授業を受けるだけでも、かなり大変である。 授業中の緊張もさることながら、予習と復習をしっかりおこなうには、授業のない日も、家で毎日のように勉強しなければならない。かつて非常に熱心な生徒が、二クラス並行して、つまり…

青来有一『爆心』

「妹はこのあたり一帯が火の海になった時、そこをくぐりぬけて逃げてきたとです」 「火の海?」 「原爆の時のことです。あれは城山の母の実家に、妹と弟と一緒に帰っておりましてね。そこで被爆しました」 「いくつの頃なのですか」 「あれは、まだ七つで、下…

色川大吉『自分史』

「記録は、一時の出来事を永遠なものにすることができる。記録は、世の片隅の出来事を、全体のものにすることができる。記録は、名もなき人の行為を、人類に結びつけることもできる。記録のみが、消えゆくものを不死なものにする。記録すれば沈黙しない。だ…

ニーチェ『道徳の系譜学』

ニーチェの『道徳の系譜学』から、ポイントと思ったところを抜き出していきます。中山元さんの訳は読みやすいので、ぜひ読んでみてください。 道徳の系譜学 (光文社古典新訳文庫) 目次 第一論文「善と悪」と「良いと悪い」 第二論文 「罪」 「疚しい良心」お…

飲み会でキレるエムペドクレス

ドリス種族によってたてられた都市アクラガスの哲学者、エムペドクレスは、飲み会で野暮なことをする輩にキレる。 彼は多くの人々といっしょにある家の酒宴に招待せられた。食事はだいぶすすんだが、いっこうに酒が出ない。他の客人たちはおとなしく手と口と…

クセノパネスのオリュンピア批判

古代ギリシアの哲学的詩人、クセノパネスのオリンピック批判。現代にも通じる。 ゼウスの神域がピサの泉の畔にあるところ、オリュンピアにて、足の速さで、あるいは五種目競技で、あるいは角力で勝利を獲たなら、あるいはまた、痛い拳闘を したり、パンクラ…

フーコー(購入分、随時更新)

フーコーの本 言葉と物〈新装版〉: 人文科学の考古学 監獄の誕生<新装版> : 監視と処罰 フーコー・コレクション〈6〉生政治・統治 (ちくま学芸文庫) フーコー・コレクション〈4〉権力・監禁 (ちくま学芸文庫) ピエール・リヴィエール---殺人・狂気・エクリチ…

ローマ法の形成ー法思想Ⅲ

前回からの続き。そう、フーコーの書いた「真理と裁判形態」を読んでいて、ローマ法とゲルマン法を比較しながら真理のあり方を論じるくだりがすぱっと理解できずに、法思想の概説書でそれらを勉強してみようと思ったのだった。 法思想の水脈 2講 ローマ法の…

古代ギリシアの正義論--法思想Ⅱ

www.kinokuniya.co.jp 第1講 古代ギリシアの正義論 Ⅰ 徳としての正義 ・古代ギリシア人にとって、徳とはそれをもつ主体を他よりも優れたものにする性質 ・徳:勇気、節制、正義 Ⅱ ソクラテス 1 ソフィストとソクラテス ・民主制がアテナイで確立:くじ引き…

『法思想の水脈』Ⅰ

フーコーの読書と並行しながら、高校世界史を復習している。フーコーの本の中では、ローマ法やゲルマン法がよく出てくるし、古代ヨーロッパへの言及も多いから。それに今読んでいる『フーコーコレクション6』には法哲学的な内容も多いので、それならと、法…

コロナ・五輪の議論など

井上達夫の論考からの引用。 五輪、危うい政治の願望思考 井上達夫・東大名誉教授に聞く:朝日新聞デジタル 答責性の本質を探っていくと、僕が長年研究してきた正義の概念と、深いかかわりがある。正義は、自己の権力欲や他者へのバッシングを合理化するイデ…

僕だけの先生

ピンク映画の巨匠・城定秀夫監督のサイコサスペンス。 家庭教師役の湊莉久が、家庭教師先の姉弟に監禁されてからは舞台がほとんど動かない。それでも、一軒の家の中で複雑に蠢く情愛と歪みをこれだけ描き切るのだから、やはりこの監督の力量は普通じゃない。…

子猫をお願い

静かな演出の中に、2001年の韓国の女の子たちが抱える現実が凝縮されている。ものすごいリアリティーをもった作品。傑作です。 『サニー』を連想しやすいですが、僕は『ゴースト・ワールド』を連想しました。とても「痛い」話ですが、こういう青春映画はずっ…

ペパーミントキャンディー

光州事件を描いてるということで見たけど、それだけ知りたいならタクシー運転手見たほうがいい。この映画は、光州事件、というか内戦に巻き込まれた人間のPTSDを描いているのかなと思った。暴力を行使してしまい、それを糊塗するためにさらに陰湿な暴力に巻…

【リンク集】参考サイト:データでみるあれこれ

multimedia.scmp.com このサイトすごくわかりやすい。ほか、わかりやすいサイトとかあれば、ここに随時集めていこうかなと。

MOOC授業「データジャーナリズム」イントロ

MOOC授業の「データジャーナリズム」のリーディング教材からいくつか抜き出して訳します。これが無料って、すごい。 www.americanpressinstitute.org データジャーナリズムって、そもそもなに Data is essential to making the journalism of today stronger…

データジャーナリズムあれこれ

2020年、「データジャーナリズム元年」への期待と懸念:日経ビジネス電子版 むしろ20年以降は、データから得た「気づき」を足・目・肌で裏付ける必要性がますます高まっていくと感じています。すでに海外では先行事例が多数出ています。 20年が、データと報…

メモ2 BBCにおけるデータ・ジャーナリズム - データ・ジャーナリズム・ハンドブック

BBCにおけるデータ・ジャーナリズム - データ・ジャーナリズム・ハンドブック しかし、データ・ジャーナリズムは、他の誰も気づいていない特ダネである必要はない。データ・ビジュアライゼーションのチームの仕事は、読者に説得力のある体験をさせるために、…

メモ1- データ・ジャーナリズム・ハンドブック

データ・ジャーナリズムの展望 - データ・ジャーナリズム・ハンドブック 1970年代初期、「社会科学や行動科学の研究手法をジャーナリズムの実践に応用する」取材方法を表現するのに「精度ジャーナリズム(precision journalism)」という言葉が発明された。…

渡部恒雄さんの安保法制議論

保守とリベラルの不毛な批判合戦 - 渡部恒雄|論座 - 朝日新聞社の言論サイト 重要なことは歴史認識のようなデリケートな部分で、中韓が懸念するような刺激を与えることを極力控えることだ。こうした政策の組み合わせを「リアシュアランス」といい、ライバル…

最高裁判事候補の人事

日本では報じられない…トランプが「保守派」を最高裁判事候補に選んで起きること(阿川 尚之) | 現代ビジネス | 講談社(5/6) この説明はめっちゃ分かりやすい 三権分立の一つの特徴は、立法権、執行権、司法権を担う人物の「任期」を異なるものとするとい…

今日の英単語(2020/10/11)

最近、日曜版のNew York Timesを購読し始めた。面白い記事が多い。日本の新聞の作り方とは全然違うなと思う。週1回のものだからとは思うけど。読んでいて分からない単語けっこうあるので、以下にメモ。 サイエンス記事から prosaic::退屈な、散文体の(<…

【メモ】政府のコロナ対策、柿崎氏の登用など

専門知ごちゃまぜにするな コロナ対策にバーテンダーを [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル また、待鳥氏へのインタビュー。 「強い官邸」主導と言われてきたにもかかわらず、新型コロナ対策ではリーダーシップが目立ちません。官邸主導はこの30年間の…

【メモ】民主主義は「ほどよい」

それでも民主主義は「ほどよい」制度だろう | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト 待鳥氏の論考。本人=主権者、代理人=政治家という代議制民主主義の効用について。「ほどよい」というのは絶妙な表現だなと。 …代議制民主主…

【メモ】ドイツ統一30年の欧州政治

欧州すくむ民主主義、大衆迎合が台頭 ドイツ統一30年 (写真=AP) :日本経済新聞 ばかげた自由主義の教義への反乱――。9月21日、ハンガリーの保守系日刊紙に挑発的な言葉が並んだ。論文を寄稿したのは、法の支配や民主主義などの理念を掲げる欧州連合(EU)と…

「人権軽視外交」検証を 天安門事件外交文書:時事ドットコム

「人権軽視外交」検証を 天安門事件外交文書:時事ドットコム 日本政府は1989年の天安門事件を受け、犠牲となった市民の人権よりも、国際的孤立に陥った中国共産党に手を差し伸べる外交を優先していた。31年がたち、強大になった中国が、自由を謳歌(…

【メモ】戦後75年の日本外交

戦後75年の日本外交を振り返る | 公 研 兼原さんと白鳥さんの対談から気になるところをメモ 兼原さんの指摘 冷戦期の日本外交 戦後の日本外交は、とても恵まれていたんですよ。安全保障政策として日本が何をやっていたのかと言えば、ソ連の軍事力を抑えるよ…

【メモ】「安倍首相の評価」

https://news.yahoo.co.jp/articles/08d9b54a3c7204e49bc868c8bd31b4b422c93555&page=4https://news.yahoo.co.jp/articles/08d9b54a3c7204e49bc868c8bd31b4b422c93555&page=4 「力」には、自身のパワーに加え、相対的なパワーも存在する。非軍事的な外交力や…