Hooney Got His Pen

映画の感想と勉強日記

頑張れ!グムスン(2002)

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ペドゥナ主演のスラップスティックコメディ。やや過剰なドタバタ劇です。

 

グムスン(ペドゥナ)は20歳の元バレーボール選手で、娘が1人いる若妻。旦那の帰りは遅いどころか、ぼったくりバーで酔っ払ってしまったらしい。愛する旦那を助けるために、グムスンはソウルの繁華街に繰り出していく…。

 

ペドゥナのドロップキックが見れるか?!と思いきや、元バレーボール選手という設定なので、打点の高いバレーボールのアタックが見れます。美しかった。

途中から訳あってヤクザに追いかけ回されるんですが、そこはスポーツ選手。めちゃくちゃ足が速くて体力もあります。追いつかれない。こういう単純な設定と展開は面白かったですね。

 

余談ですが、今敏の『東京ゴッドファーザーズ』みたいな雰囲気があって、ちょっと影響受けてるんじゃないかなとか思いました。本作が2002年で『東京〜』が2003年ですが、アニメなのでもっと前から作り始めてるはずなので違うとは思いますが。ただ、雰囲気はけっこう似てます。

 

過剰は過剰なんですが、そこはけっこう笑えますし、細かいことはあまり気にせず気楽に見れました。Netflixで観賞。

マミー Mammy

2014年、カナダ。グサヴィエ・ドラン監督。

 

『大人はわかってくれない』と、『カッコーの巣の上で』、『時計じかけのオレンジ』をかじりながら、『ライ麦畑でつかまえて』って感じの映画でした。
↑上の作品群が好きな方には引っかかると思います。

架空のカナダという設定。ある法案が通り、精神的に問題のある子供を持つ親は一方的に親権を放棄できる。だけど、これは果たしてそんなにSF設定なのだろうか?

母親であることは難しいし、何より家族であり続けることはそもそも困難すぎる。手に負えない子供を持ってしまったら?親が痴呆症になったら?兄弟の世話を焼かないといけない状況になったら?そんな状況に置かれた人は、果たして自分の人生を生きることができるのだろうか。

もしこれらの問題を解決しようとすれば答えは単純。ケアを社会化するしかないだろう。つまり行政が責任を持って対象する。個人には責任を負わせないということだ。具体的には老人ホームを運営するとかでもいいし、そのような施設を充実させることだろう。

その視点でこの映画を見直すと、果たしてあの施設・法案はそんなに非人間的なものだろうか?個人に責任を負わせ、その人の人生を台無しにしてしまう方がひどいのではないか。

ただ、この映画の秀逸なのは、やはりそのような世界はどうしようもなく窮屈で気持ち悪いように感じる。スティーブの発言はどうしようもなく切なくて心を撃つ。

おおかみこどもの雨と雪(2012年、細田守監督)

【映画短評】

この映画は寓話である。「おおかみ人間」という設定は、社会の中でマイノリティーであることを象徴している。

 

僕は、途中から息苦しくなってうまく見れなかった。けっこうエグい話だとおもう。こんな映画が広く受け入れられたというのは正直、すこし驚いた。手放しに感動!とはならない。

 

一応言っておくが、「おおかみ人間」を受け入れない社会が悪い。

クライマックスで、雪の理解者(人間)がやっと、ひとりだけ現れる。雪は泣くほど嬉しくなっているが、受け入れられただけで泣かせてはだめなのだ。「ケモノ臭い」などと言われ、それまでどれほど辛かったのだろうか。

人間の姿をしていても、たまにおおかみの姿をしていても、誰にも咎められない(間違っても、ゴミ回収車に遺体を持って行かれない!)社会。アニメであれば、そういう理想的な社会を描いてくれてもよかったんじゃないかな。ちょっと辛すぎる。何も解決してないから。


河童のクゥと夏休み』を観た時にも思ったけど、「全くのフィクション要素は一部だけで他は全てリアルな描写」という映画をアニメでやるというのは斬新だし、凄いとはおもう。でも、ちょっと辛すぎる…。救いがもうちょっとほしいし、これならハッピーなだけのアニメを観たいとか思ってしまった…。