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Hooney Got His Pen

映画の感想と勉強日記

首相の解散権を制限すべきか?

2016参院選:座談会 国のあり方、議論を - 毎日新聞

http://mainichi.jp/senkyo/articles/20160712/ddm/010/010/069000c

 
東京大名誉教授・御厨貴細谷雄一・慶応大教授、山田孝男毎日新聞特別編集委員の3氏の鼎談。
 
 
「−−参院選の意義と、参院の果たすべき役割とは。
 
 御厨氏 安倍さんの頭の中には、衆院参院も機能は違うが、選挙の効果は同じという思いがあると思う。だから3年半で4回も国政選挙になった。今回も衆参同日選を見送った瞬間から、参院選衆院選の代用品になった感がある。
 
 細谷氏 やはり山田さんの指摘のように、必要なのは統治機構改革だ。内閣と参院の意向が違う時にどうするのか。果たして参院には内閣を抑制する権限があるのかないのか。政治には権力の集中と抑制の両方が必要だ。どういう人たちを集め、どういう機能を持たせるか。憲法改正の有無を問わず、その点をきちんと議論しなければならない。困難な時代に対応できるよう、困難が来る前に今こそ議論すべきだ。
 
 山田氏 参院は、何を代表するのか分からないところに最大の問題がある。9条は外交に直結する微妙さがあるが、59条は純粋に国内の統治システムの、自己決定の問題だ。衆院の優越の問題から整理したらどうか。
 
 御厨氏 参院改革が最も現実味を帯びたのは05年、参院の反乱をきっかけに小泉純一郎首相(当時)が行った郵政解散だ。ただ、衆院で3分の2を取って再議決が可能になり、動きが止まってしまった。
 
 細谷氏 参院が内閣と違う意思決定をした時に、内閣は参院を解散できないので止まってしまう。やはりこれは欠陥だ。実は英国のEU離脱問題も似ている。国民投票の離脱という意思と、残留派が多数を占める英国下院の意思がねじれている。日本で言えば、参院と内閣との責任関係が書かれていないのは明らかに憲法の欠陥ではないか。
 
 
−−一方で首相が無制限に解散権を行使することを問題視する意見も耳にします。
 
 御厨氏 首相が首相たる感覚を一番持てるのは解散権だ。解散に関して「ウソをついてもよい」というのはどうかと思うが、それは倫理の問題で、権限に他人が干渉すればかえって混乱する。
 
 山田氏 日本が手本にする英国は、首相の解散権を制限する法律を成立させているが。
 
 細谷氏 英国の危機はそこが始まりだ。離脱派がウソをついて国民投票で勝利し、多くの人が後悔している。もし解散できれば総選挙で国民に信を問えるが、解散権がないので自動的にEU離脱せざるを得ない。意思決定がねじれた時に、解決方法がないということになる。
 
 御厨氏 やはり非常特権として解散権は無条件に認めないとダメだ。
 
 細谷氏 最後は国民に聞くということ。今後、英国は分裂しかねないと思う。最後はやはり民意。意見がねじれたり、変わったりした時に、国民に答えを聞くのが解散・総選挙だと思う。
 
 山田氏 正統的な議院内閣制は本場の英国でなく、日本に残っていたということになる。
 
首相の解散権は制限すべき?
異議あり)制限ない「首相の解散権」時代遅れ 統治システムを憂える政治学者、野中尚人さん
 
以下、目についたところを抜粋。
 
「ふまえておくべきなのは、いまや主要先進国は解散権を制約し、ほぼ使えないようにしているという民主主義の潮流です。例えば、日本では何かとお手本とすることの多い英国を見てみましょう。歴史的な経緯もあって、日本と並んで、首相に強い解散権が残されてきた例外的な国として知られていましたが、2011年に、議会が内閣不信任した時以外にはほぼ解散ができないとする法律が成立しました。ヨーロッパでは、政府の最高責任者がいつでも議会を解散できる有力国は限られるようになっています
 
――なぜ各国は解散権を縛るようになったのでしょう。
 「根底には、政治エリートが勝手なことをやるのは慎むべきだという考えがあります。そして、政府には有権者との約束実現にじっくり取り組ませることが重要だと。任期が4年なら、4年でやるという公約、マニフェストあるいは基本方針を有権者に示して選挙を戦い、与えられた任期で実行する。任期中にできたこと、できなかったことをもとに次の選挙を戦うサイクルを重視しているからです」
 
「首相は解散をちらつかせて、野党ににらみをきかせるだけではなく、政府・与党内の求心力を保とうとします。日本では衆院選だけでなく、参院選、政党の総裁や代表の選挙も首相の進退にかかわるので、政局を次々と仕掛けてばくち的な勝負事に打って出ながら政権運営しなければなりません。だから、落ち着いて政策に取り組むのが難しいのです。逆説的ですが、日本の首相は内閣や国会でほとんど正式な権能を持たない『弱い首相』の典型。自由な解散権という残された武器で何とか頑張ろうとするわけです」
 
「ヨーロッパの主要国は、政治家、官僚を問わず、統治のシステムをよりよいものにしようと常に工夫し、努力しています。日本は、明治維新の後には伊藤博文らが必死に政治制度を研究しました。いまはどうでしょう。政治の仕組みとしては非常に特異な進化を遂げた、あるいは進化を止めてしまったのではないかと感じています。これを私は政治の『ガラパゴス化』と表現しています
 
 
 僕は、前者の御厨・細谷両氏の議論に説得力があるとおもうのだが、どうだろうか。英国の問題のひとつに首相の解散権を制限してしまったことがある、という議論は非常に興味深かった。
 というか、キャメロン首相の右往左往ぶり、ボリス・ジョンソンの総裁選不出馬、UKIP党首がウソをついたことを認めつつ晴れやかな顔で辞任(勇退?)したこと…等の一連のイベントを見ていて、「こんなグダグダになるなら、いっそ解散しないのか?」と不思議に思っていた。そうだ、解散権を制限してしまっていたのだ。まさに記事中で言われているように、意思決定がねじれた時にこそ解散権が必要になる、というのをまざまざと感じさせる出来事だったのだろう。
 今後このような議論が進むのかは分からないが、メモ代わりにまとめておきました。

最近買った本

 

安保論争 (ちくま新書)

安保論争 (ちくま新書)

 

 

  1. 細谷雄一『安保論争』(ちくま新書、2016年)
  2. 五百旗頭真中西寛編 『高坂正堯と戦後日本』(中央公論新社、2016年)
  3. 添谷芳秀『安全保障を問いなおす―「九条-安保体制」を越えて (NHKブックス No.1239)』(NHKブックス、2016年)
  4. 宮城大蔵・渡辺豪普天間・辺野古 歪められた二〇年 (集英社新書 831A)』(集英社新書、2016年)
  5. 宇野重規保守主義とは何か - 反フランス革命から現代日本まで (中公新書)』(中公新書、2016年)

これらを買いました。

ぱらぱらとめくってはいますが、じっくり読める時間がなかなかありませんね…。夏休みにまとめて読むつもりですが、細谷『安保論争』は取り急ぎ読んでみようかと思います。

ウェブ上で、「はじめに」が公開されていました。

覆い隠された真実|ちくま新書|webちくま

とても興味を惹かれますね。

 

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発表

大学院の授業では、討論型のものが多い。一人が発表して、あとの残りの人が質問をぶつけつつ議論する、というタイプの授業である。ゼミ型といってもいいかもしれない。

ただ、ゼミであれば、参考文献や資料などはあらかじめ教員側から指定されることも多い。しかし、大学院におけるいくつかの授業では「テーマも自由、何やってもらってもけっこう」という場合がある。その場合、発表者の学生の実力がもろに出てしまう。たいては、面白く興味深いプレゼンが聞けるが、いくつかは頭を抱えてしまうものがある。

と言いながら、先週のある授業では頭を抱えさせてしまった。平たく言うと、プレゼンで失敗した。自分が発表者だったが、英語で書かれた文章を読むのに必死でまとめられなかったのである…。このような場合はやはり、原稿なりレジュメなりを作ってから臨まないといけない、という当たり前すぎる教訓を得た。目下、来週の発表分の原稿を作成中である。ただ、原稿を作るのにも利点があって、やはり考えがまとまるし、何よりスムーズに発表ができる。これも当たり前すぎるが、大事だなと改めて。

そういえば、先日ある授業ではなかなか大変な状況に陥った場面があった。発表者の彼が準備不足で、そのうえ内容的にも頭を抱えるようなものだったのだ。「ちょっとこれは…」と聞いているみんなが感じたので、みんな頻繁に質問していた。しかし、質問がいつのまにか批判に変わっていき、ピリピリした空気が充満していった。とても気まずくて、僕もなんとか空気を和らげようと言葉を選びながら質問したものの、その答えもよくわからないもので…。というつらい授業だった。

僕も失敗したときは、脂汗をだらだらかいていた。その発表者の彼も汗をかきまくっていた。個人的な印象だけど、留学生はとにかく打たれ強いと思う。先生に指摘をされても批判されても、とにかく議論していき、いいディスカッションにしてしまうのだ。一方、一般の学生は打たれ弱いというか、少し批判されると黙ってしまう場面が多いように思う。僕はそのタイプなのだが、どこかでこのマインドは変えないと、留学先でやっていけないように思う。

 

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